※この記事は主に国民年金の第1号被保険者(主に自営業者など)を対象に書いています。
→国民年金を支払っている方向けの記事です。
目次
皆さん、国民年金の前納はご存知ですか?
本来であれば国民年金の第1号被保険者は毎月16,410円の保険料を払うのですが、一定の期間前倒しで保険料を支払うと、支払う金額が割引されるというものです。
1か月前倒し支払うだけでも月に50円、2年間前納するとトータルで15,760円もお得になります。
早く支払っただけで、保険料が割引されるのでお得ですね。
ここで2年間支払った場合を考えてみましょう。
本来、保険料は月に16,410円ですので、2年分の24月を通常通り支払うと393,840円になります。
ところが、2年間の前納を選択すると379,640円の支払いとなり、15,760円お得となります。
15,760円を379,640円で割ると約4%となります。
普通の預金利息が0.001%の時代ですから、400,000倍の利率ですね!
これは凄い!
実はわたくしも、1月から一号被保険者になるのですが、2年間前納で支払おうと思っています。
※日本年金機構HPより
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/20150313-04.html
さて、健康保険料を支払ったり、国民年金の保険料を支払うと、年末調整や確定申告で所得から支払った金額を差し引くことができ、税金が安くなりますね。
さて、2年間国民年金を前払いした場合は、いつ、所得から差し引けるのでしょうか?
支払った年に2年分全額所得から控除できるのでしょうか?
それとも、本来の各年分の年に控除できるのでしょうか?
答えは、選べるのです!
ここが非常に有利なところですね。
例えば令和2年に2年分支払ったのであれば、支払った令和2年分の確定申告で支払った金額を全て社会保険料控除の対象としても良いし、本来の年分(2年・3年・4年)で控除をしてもいいのです。
確定申告の時期になり、今年は所得が多そうだと思えば、一括で控除すれば良いし、来年所得が多くなりそうであれば、各年分の控除を選択する。
所得税は所得が多いほど税率が高くなるので、所得が高い時期に社会保険料控除をとった方が有利です。
※参考 所得税の税率表
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
2年前納の場合、控除できる年を選択できるのでお得ですね。
国民年金保険料が割引になったうえに控除できる年が選択できるので、とても嬉しい制度です。
ただし、一度、各年分の控除を選択すると、その次の年に残りの控除を一括で控除という事は出来ないので注意です。
又、支払った年分で全額控除すると、当然、後の年には控除できません。
※日本年金機構HPより
https://www.nenkin.go.jp/faq/kokunen/seido/kojoshomei/20180221.html
そうはいっても、前払いをするために資金を支出するのでキャッシュフローは悪化しますね。
2年前払いだと379,640年、1月づつだと16,410円、年間で196,920年。1年で考えると182,720円資金が拘束される事なります。
ただし、金融機関で同額を借りても今は年2%で借りられる時代。(通常は1%代で借りられることが多い)金融機関から資金を借りたと考えてみましょう。182,720円に2%をかけても3,654円ですので、割引額を下回り、十分メリットがあると考えられます。
又、本来であれば、182,720円を他の投資に回せて儲かったかもしれないと考える事ができるかもしれません。
ただし、先にも述べたように預金利息が0.001%の時代です。
通用に182,720円預けていても利息は2円弱。
雀の涙のようなものです。国民年金の割引率の方が十分高いですね。
具体的には4%以上の利益率を出さなければなりません。
4%という数字は非常に高い数字だと思います。
(元本保証で4%の利率は驚異的です。昨今レンディングなどで5%などの利率の商品がありますが、大抵元本は保証ではありません)
ただ、確かに、資金が不足していて、資金繰りに困っている場合には、手元資金を残して置いた方が良いですね。
資金が不足しないのが事業の基本ですから。
究極的には個人の状況や、考え方によると思います。
さて、国民年金のお得な前納制度はいかがだったでしょうか?
皆様の状況に合わせて検討をしてみて下さいね。
所得税法74条 社会保険料控除
居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払つた場合又は給与から控除される場合には、その支払つた金額又はその控除される金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
通達 74・75-1 その年に支払った社会保険料又は小規模企業共済等掛金
法第74条第1項又は第75条第1項に規定する「支払った金額」については、次による。(1) 納付期日が到来した社会保険料又は小規模企業共済等掛金(以下74・75-3までにおいてこれらを「社会保険料等」という。)であっても、現実に支払っていないものは含まれない。(2) 前納した社会保険料等については、次の算式により計算した金額はその年において支払った金額とする。前納した社会保険料等の総額(前納により割引された場合には、その割引後の金額)×前納した社会保険料等に係るその年中に到来する納付期日の回数前納した社会保険料等に係る納付期日の総回数(注) 前納した社会保険料等とは、各納付期日が到来するごとに社会保険料等に充当するものとしてあらかじめ納付した金額で、まだ充当されない残額があるうちに年金等の給付事由が生じたなどにより社会保険料等の納付を要しないこととなった場合に当該残額に相当する金額が返還されることとなっているものをいう。
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