令和8年度税制改正:中小企業・個人事業主向けざっくりポイント解説

はじめに
この記事は、中小企業、個人事業主、不動産所得者向けに、「令和8年度税制改正の重要ポイント」を、重要な項目のみざっくり整理した「ざっくり税制解説」です。
特に長野県の中信地域(松本市・安曇野市・池田町・松川村・大町市など)の小規模事業者を想定して記載しています。
今回の記事は分かりやすさを優先したざっくり解説です。実際の税務は、状況により異なりますので専門家等に相談の上ご判断をお願いします。
目次
⑴所得税の壁が大幅引上げ
基礎控除・給与所得控除の見直しにより、所得税が発生するラインが引き上げられました。
年収の壁の推移
| 時期 | 所得税がかかり始める目安 |
| 従来 | 103万円 |
| 令和7年度改正 | 160万円 |
| 令和8年度改正 | 178万円 |

⑵どういう意味?
例えば、これまで「103万円を超えると税金が増える」と考え、勤務時間を調整していた方が多くいました。しかし今回の改正で、より多く働いても所得税が発生しにくくなります。
⑶会社への影響
人手不足対策として期待
特に、
などでは、「年収の壁を気にして働けない」問題がありました。今回の改正により、シフト調整が緩和される可能性があります。
⑷超重要注意点
社会保険の壁は別
ここを勘違いする方が非常に多いです。
税金の壁と社会保険の壁は別制度です。
例えば…
所得税は発生しなくても、
の社会保険加入基準に該当すると、社会保険加入になる場合があります。
実務上よくある相談
❌ 「178万円まで扶養で働けますよね?」
↓
⚠ 「税金」と「社会保険」は別です
約119万円へ引上げ
住民税非課税ラインも引上げ。
| 区分 | 改正前 | 改正後 |
| 住民税非課税目安 | 約100万円 | 約119万円 |
住民税とは?
都道府県・市区町村へ支払う税金。
通常、所得税、住民税は別々に課税されます。
実務への影響
パート従業員の働き方変更
例えば、「100万円以内で働きたい」と考えていた方が、119万円付近まで働くケースが増える可能性があります。
超重要改正
今回の改正で、青色申告特別控除が改正されますが、「電子化しない人は不利」という方向が非常に強くなっています。
適用時期
令和9年分以後から適用予定。つまり、令和8年中は従来制度、令和9年確定申告から影響が出る見込みです。
令和9年以後の控除額一覧
| 区分 | 控除額 | 要件 |
| 75万円控除 | 75万円 | e-Tax+一定電子化 |
| 65万円控除 | 65万円 | e-Tax |
| 10万円控除 | 10万円 | e-Taxなし等 |
※従来 10万・55万・65万
最大のポイント
「55万円控除」が実質消滅方向です。
75万円控除の要件
以下が必要。
✅ 複式簿記
✅ e-Tax申告
さらに、
次のどちらか
① 優良な電子帳簿保存
または
② 請求書データ等との自動連携
「どちらも」ではない
ここは誤解注意。
65万円控除
以下が必要。
✅ 複式簿記
✅ e-Tax申告
e-Taxしない場合
10万円控除まで減少。
さらに重要
10万円控除にも制限
前々年の事業所得または不動産所得の収入が1,000万円超の場合、10万円控除も不可となる方向。
実務への影響
今後、紙申告はかなり不利になります。
0~17歳対象
未成年向け非課税投資制度「こどもNISA」創設予定。
こどもNISAとは?
子ども名義で、
等へ投資し、運用益・配当金を非課税とする制度。
年間投資上限:年60万円
非課税保有限度額:最大600万円
18歳になったら?一般NISAへ自動移行予定
活用例
例えば、毎年30万円を子ども名義で積立。10年以上運用。
↓
教育資金準備にも活用可能。
メリット
通常、利益には約20%課税。しかしNISAなら、利益非課税です。
注意点
元本保証ではありません。短期売買より、長期積立向き制度です。
30万円未満 → 40万円未満へ拡大。
改正内容
| 改正前 | 改正後 |
| 30万円未満 | 40万円未満 |
※令和8年4月1日以後
どういう制度?
通常、10万円以上の設備は、数年に分けて経費化します。これを「減価償却」といいます。
しかし今回40万円未満なら、一括経費化可能になります。
具体例
38万円のパソコン購入。
改正前
数年かけて経費。
改正後
今年全額経費可能。
メリット
✅ 節税効果早い
✅ 資金繰り改善
✅ 設備更新しやすい
対象例
✅ パソコン
✅ タブレット
✅ エアコン
✅ 工具
✅ 防犯カメラ
非常に重要:小規模事業者へ大きな影響があります。
⑴2割特例は令和8年で終了
2割特例とは?
本来の消費税は、売上消費税 - 仕入消費税で計算。
しかし、インボイス開始による負担増緩和として、売上消費税の20%だけ納税で良い制度がありました。
例
売上消費税100万円。
↓
納税20万円。
適用期限
| 区分 | 適用期限 |
| 個人 | 令和8年分まで |
| 法人 | 令和8年開始事業年度まで |
ポイント
延長ではなく終了です。
⑵ 3割特例 新制度
2割特例終了後、個人事業主限定で導入予定。
超重要:法人は対象外です。
内容
売上消費税の30%を納税
適用期間
令和9年・10年予定。
イメージ
売上消費税100万円。
↓
納税30万円。
⑶ 免税事業者からの課税仕入れ:経過措置の改正
インボイス未登録事業者への支払いについて、一定割合の仕入税額控除が可能でしたが、割合と期間に改正がありました。
※本来であればインボイス未登録事業者への支払は仕入税額控除不可
改正後の経過措置一覧
| 期間 | 控除可能割合 |
| ~令和8年9月30日 | 80% |
| 令和8年10月1日~令和10年9月30日 | 70% |
| 令和10年10月1日~令和12年9月30日 | 50% |
| 令和12年10月1日~令和13年9月30日 | 30% |
| 令和13年10月1日以後 | 0% |

具体例
外注費110万円 (消費税10万円)
| 期間 | 控除可能額 |
| ~令和8年9月 | 8万円 |
| 令和8年10月~ | 7万円 |
| 令和10年10月~ | 5万円 |
| 令和12年10月~ | 3万円 |
| 令和13年10月以後 | 0円 |
実務への影響
「免税事業者へ外注」すると、発注側の消費税負担が増加。
予想されること
✅ 価格交渉
✅ インボイス登録要請
✅ 外注先見直し
特に影響大
✅ 建設業
✅ 一人親方
✅ ITフリーランス
✅ デザイン業
中小企業向けは継続(一部縮小)、大企業向けは縮小方向。
内容
給与増加率に応じて、税額控除可能。
| 給与増加率 | 控除率 |
| +1.5% | 15% |
| +2.5% | 30% |
重要改正
中小企業向け賃上げ促進税制は教育訓練費上乗せ廃止
実務ポイント
今後は、「給与増加」そのものが重要。
3,500円 → 7,500円へ大幅引上げ。約40年ぶり改正
食事支給非課税とは?
会社が、弁当代、夜食代、食事補助を出した場合、一定要件を満たせば、給与課税されない制度。
超重要
要件を満たさないと給与課税
要件
① 従業員が半額以上負担
② 会社負担額が月7,500円以下
両方必要
片方だけではNG。
メリット
給与支給より、
負担を抑えやすい。
注意点
現金支給だけだと、給与課税されやすい。
今回の令和8年度税制改正は、
「物価高対応」「電子化」「インボイス制度対応」が大きなテーマです。
今後特に重要になるもの
✅ e-Tax ※個人事業者
✅ インボイス管理
中小企業への影響
今回の改正は、「小規模事業者にもデジタル対応を求める流れ」が非常に強くなっています。
一方で、
など、中小企業向け優遇措置も拡充されています。
最後に税制改正は、「知らないと損」になることが非常に多いです。
ご不明な点がありましたらお気軽にご相談ください。
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