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相続時精算課税制度のメリット・デメリット 主に注意点

安曇野市・大町市・松本市の相続・贈与・遺言の悩みを解決します。
寺坂誠税理士事務所・行政書士寺坂誠相続相談事務所

1 初めに

手軽に生前贈与ができると人気の相続時精算課税制度ですが、内容を良く理解せずに実行すると手続きを忘れて相続時精算課税が適用できなかったり、相納税が多くなったり、贈与税以外の税額が多くなったり様々なトラブルに見舞われます。

相続時精算課税制度を利用する場合には、制度の内容を良く理解して納得の上で実行をして下さい。

又、相続時精算課税制度は、贈与の税務上の特例であり、その本質はあくまで贈与です。その贈与が相続トラブルを招かないか、良く理解して贈与を実行して下さい。

2 税務上の贈与の種類

税務上の贈与には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があり、どちらか一方を選択することになります。

一度相続時精算課税制度を選択した場合、暦年課税には戻れませんので注意が必要です。

 

3 暦年課税

①贈与税の計算式

原則的な暦年課税の贈与税額の計算方法は下記のとおりです。

※基礎控除が110万というのが暦年課税の非常に特徴な所です。

 年間110万の為、10年間使用したとすると1,100万円の非課税という事になります。

 相続時精算課税の特別控除額は、贈与者ごとに2,500万であり、また、相続発生時に贈与を受けた財産の価額を全額加算するため、贈与を受けた財産が非課税になっているという意味合いではありません。最終的には課税がされます。

※相続などにより財産を取得した人が、被相続人からその相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間)に贈与を受けた財産があるときには、その人の相続税の課税価格に贈与を受けた財産の贈与の時の価額を加算します。

国税庁HPより

②税率表 国税庁HPより

【一般贈与財産用】(一般税率)

 この速算表は、「特例贈与財産用」に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。

 例えば、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに使用します。

基礎控除後の課税価格200万円
以下
300万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
3,000万円
税 率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額10万円25万円65万円125万円175万円250万円400万円

【特例贈与財産用】(特例税率)

 この速算表は、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)※への贈与税の計算に使用します。

※ 「その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)」とは、贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の直系卑属のことをいいます。

 例えば、祖父から孫への贈与、父から子への贈与などに使用します。(夫の父からの贈与等には使用できません)

基礎控除後の課税価格200万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
4,500万円
以下
4,500万円
税 率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額10万円30万円90万円190万円265万円415万円640万円

4 相続時精算課税

①概要

原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。

②贈与者の要件

贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母又は祖父母

③受贈者の要件

贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫)である推定相続人又は孫とされています。

④手続き

相続時精算課税を選択しようとする受贈者(子又は孫)は、最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に納税地の所轄税務署長に対して「相続時精算課税選択届出書」を一定の書類とともに贈与税の申告書に添付して提出しなければなりません。

⑤計算式

※1 複数年にわたっての贈与を受けた場合、全ての贈与財産の価額を合計します。

※2年間2500万の控除ではなく贈与者ごとに2500万の特別控除額となります。

⑥相続発生時の取り扱い

相続財産に相続時精算課税制度を利用して贈与を受けた財産を加算して相続税の計算を行います。

5 相続時精算課税のメリット

①将来相続税が発生しない場合には贈与税がかからず資産が移転できる。

相続時精算課税を利用して贈与を受けた場合、相続発生時に贈与を受けた財産の価額を加算して相続税を計算しますが、遺産総額が基礎控除以下など相続税が発生しない場合には、結果的に贈与税がかからず資産を移転することができます。

※全て無税というわけではありません。不動産取得時には登録免許税・不動産取得税、保有中は固定資産税などがかかります。

②生前贈与がしやすくなる

暦年課税の贈与税は贈与財産の価額が高額になると非常に高い税率で課税されます。

相続時精算課税を利用することによって、最終的には相続税率で課税されるため、生前贈与がしやすくなります。

結果的に、自分の思うように贈与ができる為、相続争いの防止に役立てることができたり、自分の意志通りに財産を承継させることができます。

※通常の相続の場合、民法上の相続分で遺産分割がされるとは限りません。

 自分の意志通りに財産を相続させたい場合、遺言が必要になります。その場合も、自分の意志通りに財産を相続させることが必ずできるとは言えません。

③贈与時の価額で相続財産に加算されます。

贈与財産が不動産などで、これから値上がりが見込まれる場合、贈与時の価額で相続財産に加算されるため、相続税の節税につながります。

ただし、値下がりが見込まれる場合逆に相続税の負担が上昇しますのでご注意ください。

6 相続時精算課税のデメリット

① 変更不可

一度相続時精算課税を選択すると暦年課税制度に変更することができません。

したがって、よく制度を理解したうえで、相続時精算課税を適用しましょう。

特に節税が目的であれば、ほかに手段はあります。

② 贈与は全て申告

相続時精算課税を選択後は特定贈与者からの贈与は全て申告をすることになります。

110万未満の贈与でも申告する必要があります。

※特定贈与者とは、相続時精算課税選択届出書に係る贈与者をいいます。

③ 基礎控除(110万)はありません。

相続時精算課税には基礎控除(110万)はありません。

 2500万の特別控除額がありますが、基礎控除(110万)はありません。特別控除額を超える部分の金額に20%の税率を乗じて贈与税を納税します。なお、この税額は、相続税の申告時に清算されます。

 基礎控除は非課税という意味合いが大きいのですが、特別控除額は非課税ではありませんので、節税を考えた場合、基礎控除を積み上げた方が効果が大きい場合が多くあります。

④ 撤回不能

相続時精算課税を適用するため「相続時精算課税選択届出書」を提出すると撤回することができません。

⑤ 期限内申告が必要

贈与を受けた場合贈与税の申告期限までに贈与税の申告が必要です。

特に初年度は「相続時精算課税選択届出書」及び添付書類の提出が必要です。

提出期限までに提出しない場合、相続時精算課税の適用は受けられませんのでご注意ください。

⑥ 財産を貰った人(受贈者)が贈与者より先に死亡した場合

特定贈与者より受贈者が先に死亡をすると、税負担について不利になる可能性があります。

⑦ 財産の価額

贈与を受けた財産の価額は、贈与を受けた時の評価額となります。

したがって、財産の価値が上昇すれば節税となりますが、下落すれば税負担増加の可能性が生じます。

値上がりする資産は相続時精算課税制度が適していますが、値下がりする資産には適していません。

例えば、5,000万の建物の贈与を相続時精算課税制度で受けたとしましょう。

極端な出来事かもしれませんが、火災でこの建物が滅失してしまったとします。

評価額は0ですね。

ただし、相続時に相続税の課税価格に算入するのは、贈与を受けた時の価額となります。

つまり、5,000万分の価額を相続財産に加算します。

逆にこの建物が値上がりしたとしても、相続財産に加算するのは贈与を受けた時の財産の価額、すなわち5,000万円です。

5,000万円の建物の贈与を受け、その建物が値上がりし、7,000万になったとしても相続税の課税価格に参入するのは5,000万円です。2,000万円お得ですね。

ただし、建物は値上がりする資産でしょうか?それとも値下がりする資産でしょうか?

よっぽどの建物でないと、時間の経過とともに価値は減少していくはずです。

土地は判断が非常に難しいですね。上がるか下がるかですので、得するか損するかは半々の確率です。

⑧ 不動産の価額 

 不動産を贈与する場合、税法上の時価で計算します。一般の時価とは異なりますのでご注意ください。

土地などは複雑な評価方法となりますのでご注意ください。

⑨ 税負担

相続時精算課税を使用して贈与をした場合、相続時の財産に加算されることとなります。相続の前倒しのような意味合いとなります。

従って、相続税申告時の税率で課税されるため、有利不利の検討には詳細なシュミレーションが必要となります。

相続税の節税を考えている場合、暦年課税で贈与を積み上げた方が節税になるケースも多々あります。

※相続税がかからない場合、無税(登録免許税・不動産取得税を除く)で資産を移転できる為、有利です。

⑩ 相続税と贈与税の登録免許税及び不動産取得税

贈与と相続では、登録免許税と不動産取得税の課税関係が異なり、不動産の価額が大きい場合金額も多額になります。

その贈与が本当に必要か、相続発生時では遅いのかの検討が必要です。

⑴土地

項目登録免許税不動産取得税
贈与2%3%
相続0.4%無税※

  ※遺贈・死因贈与を除く。

⑵建物

項目登録免許税 不動産取得税
贈与2%住宅3%
贈与2%住宅以外4%
相続0.4% 無税※

  ※遺贈・死因贈与を除く。

⑪ 小規模宅地の特例が使用できません。

土地の価額が最大80%減額される「小規模宅地の特例」ですが、相続時精算課税に係る贈与によって取得した宅地等には適用されません。

7 優先順位を付ける

 それでは、どのようにして相続時精算課税制度を考えたらよいのでしょうか。

まず、何のために生前贈与をするのか考えた方が良いかと思います。

生前に贈与をしたいのか。それとも、節税をしたいのか。

その目的を達成する為に相続時精算課税制度が役に立つのであれば利用すれば良いのだと思います。

個人的見解ですが、相続時精算課税は価額の大きな資産を生前贈与する為の特例かと思います。

又、誤って価格の大きな資産を贈与をしてしまった時のリカバリーの為の特例です。

ケースにもよりますが、あまり節税には向かないかと思います。(地域性もあるかもしれません。地方と都会では不動産の価格が違いますので判断も異なります。)

※相続税が発生しないならば相続時精算課税も有効です。ただし、登録免許税・不動産取得税に気をつけてください。

8 終わりに

相続時精算課税制度の概要とメリット・デメリットを述べましたがいかがでしょうか?

この他にも、注意点は多々あります。

十分に注意をして相続時精算課税制度を利用して下さい。

理解したうえで使用すれば相続時精算課税制度は非常に強力な制度です。

この記事が皆様のお役に立てれば光栄です。

9 参考書籍等

国税庁HP

図解 相続税・贈与税 大蔵財務協会 中野欣治 編

Q&A 今知っておきたい贈与税 ㈱TKC出版

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